理系学生は必見、就活で役立つ研究概要の書き方

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 研究概要は志望企業が定まっていなくても作成することができます。

そのため「まずは研究概要を作ろう」という話をしてきました。

今回は研究概要の作り方について詳しく書きます。

研究概要ってなんで必要なの?何に使うの?

どうして就職活動で研究概要が必要となるのでしょうか?

もちろん、研究概要を通じて確かめたいことがあるからです。

しかし、企業が研究概要で確認したいことはあなたが学部生であるか、大学院生であるかによって異なります。

 

学部生の段階では、まだ研究に取り掛かっていない場合が多いでしょう。

そのため、専門性を見ることが目的とは考えにくいです。

専門性ではなく、なにを見ているのでしょうか?

これまで「どのようなことを勉強してきたのか」を知るための手がかりとして、研究概要が求められます。

実際、「最近の学部名は何の勉強をしているかわかりにくい」という声もよく聞きます。

 

大学院生の場合、学部に比べて2年間長く研究をするので専門性が求められます。

むしろ、専門について述べることはできて当然の前提条件です。

それに加えて、研究していることをわかりやすく説明する能力も確認されます。

読者はだあれ?

研究概要を作成するときは、読む相手を想定することが必要です。

人事向けと技術職向けでは、各内容のレベルも違いますよね?

 

人事に読まれる研究概要

読むのが人事の方なら、素人向けに書くべきです。

「どの程度の内容が素人向けなのか」という疑問が生じると思います。

理系の大学に通っていると必然的に周囲にも理系の人材があふれて、「自身にとっての普通」が「世間一般の普通」とかけ離れていきます。

 

そのため、理系学部の友人ではなく、文系学部の友人が見て分かる程度の内容を目安にしましょう。

友達のいない人は家族に読んでもらってください。

私は家族に読んでもらいました。

 

技術職に読まれる研究概要

技術職の方向けなら、人事向けの場合に比べ、突っ込んだ内容で良いでしょう。

ですが、読むのが技術職の方の場合でも、学会要旨の様に専門用語を連発するのはだめです。

技術職の方は科学についての素養や業務に関係する分野についてはスペシャリストです。

 

しかし、あなたの研究分野に関しての専門家ではないからです。

どの程度の内容を目安とするかが問題となります。

同じ学年の専門の違う研究室の友人が見て理解できるレベルの内容にしましょう。

あなたが分析化学の研究をしているのであれば、有機の友人にでも確認してもらいましょう。

誰に向けて書くか迷ったら

企業の提出書類のページや説明会で「人事(あるいは技術職)向けに研究概要を作成してください」と指定されていれば楽ですが、そのように指定されているケースは少ないです。

誰に読まれるか不明なケースが多いです。

その場合にベストなのは「誰を対象に書けばいいか」聞くことです。

説明会の最後などで個人的に聞きに行きましょう。

 

とは言っても難しいですよね。

読者が誰かわからなければ、簡単な内容で作成することをおすすめします。

難しすぎると「この学生はわかりやすい説明できないのだな。相手の理解力を想像することのできないコミュ障なのかもしれない」と思われる可能性があるからです。

「選考にあたって特に重視した点」に「コミュニケーション能力」が一番となる中で、コミュ障であると誤解されるのは大きな失点です。

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経団連:2015年度新卒採用に関するアンケート調査結果 (2016-02-16)

この調査結果のp13にあるグラフを根拠にしています。

簡単すぎると技術職の方が読者であった場合に困るのではないか、と疑問に感じるかもしれません。

 

ですが、相手が詳しい人ならば口頭で聞くだけでも理解できます。

面接の際に「もっと詳しく説明して」と言われるだけで、特に問題はありません。

もしも「なんでこんなに簡単な内容で書いたの?」と尋ねられたら「人事の方が読むと思いました」とでも答えておきましょう。

筋道が通っていればOKです。

何を書けばいいのか

2枚から1枚へ「削る」

研究概要の基本的な流れは

  1. 研究テーマ
  2. 研究背景
  3. 内容
  4. 結論

で良いでしょう。

 

研究概要は「A4用紙1枚」または「A4用紙2枚」で作成するよう、指示されることが多いです。

まずはA4用紙2枚のものを作りましょう。

その後、内容を削ってA4用紙1枚バージョンを作ります。

これは膨らますよりも削るほうが楽だからです。

 

学生時代に力をいれたこと(ガクチカ)や志望動機にも同じことが言えるので、文字数の長いバージョンから作成するようにしましょう。

私は100字、300字、500字、700字、1000字のガクチカを作っていましたが、使い回しが効いて便利でした。

 研究概要の内容で困ったら

上で研究概要の流れを説明しましたが、作成する上で重視すべきものを列挙します。

なお、数字と重要度は関係ありません。

  1. 研究目的(自分の研究でどこまで到達するのか)
  2. 既往の研究に対するオリジナリティ
  3. 何が問題でこの研究をするのか(解決したい課題)
  4. 研究結果は社会をどう良くするのか(壮大な理想論でOK)
  5. どのような手法で研究を行う(行った)のか
  6. 最終目標はなにか(自分ではなく、テーマの最終目標)
  7. 自分が何をやったのか

A4サイズ2枚なら研究背景について、しっかりと説明ができるので1,3,4の説明が楽になります。

「この研究がなぜ必要なのか」を説明するのは難しいですからね。

面接では3,4について尋ねられることが多かったので、企業はこの部分に興味を持っているのではないか、と私は考えています。

 学部就活する学生の研究概要

学部生の場合、結果が出ていない段階で書類提出なので必然的に1,3,4について書くことになると思います。

配属されてすぐ就活なので、研究についての知識が少なく苦労するでしょう。

院生も就活や卒業旅行で忙しそうにしていると思いますが、怯まずに聞きに行きましょう。

待っていても説明してはくれません。

「自分の人生がかかっている」というくらいの強い気持ちで質問しましょう。

文体はどうしよう?

常体(である)でも敬体(ですます調)でもどちらでも構いません。

自分が書きやすい方で大丈夫です。そこは本質ではありません。

私はA4用紙3枚を要求されて紙面を埋めきれないときは敬体を使い、逆にA4用紙1枚で紙面が足りないときは常体で作成しましたが、どちらも通過しました。

きちんと伝わればいいんです。

 

また、指定がなければホッチキス(ステープラー)でもクリップでもどちらでもいいです。

わたしがクリップ、同期がホッチキスで提出した企業がありますが、2人とも通過しました。

本筋ではないので、気にせず行きましょう。

まとめ

今回は私の経験を踏まえて「研究概要の書き方」について考えました。

 

私は就活終了まで学会に出ることがなく、試行錯誤してこのスタイルに落ち着きました。

学会などに慣れている人は、自分のスタイルで書くのが一番だと思います。

 

今回紹介した方法はあくまで私の個人的な意見であり、絶対的な正解であることを保証するものではありません。

ビジネスと一緒で普遍的な正解なんてありません。

 

あなたは「研究」について専門家なので「研究概要」の作成は独力で十分です。

しかしESや面接など「就活」については、その道のプロに聞くのが一番かもしれません。

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